かざいむ日誌

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デジタルトランスフォーメーション(DX)がなんでこうもふわっとしているのか。

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デジタルトランスフォーメーションという言葉はちょっと前から聞くようになったが、バズワードの印象が強く、ちょっと警戒してたけど、フォローしている人の投稿でも登場するようになり、追ってみることにした。多少知恵がついたので今日、他のSEさんにDMMの松本さんの投稿の話をしてみた。すると、全然伝わらず、逆に彼からDXだとRPAとか聞きますよと言われて、ようやくかみ合った話ができてないのに気付いた。その後で、『ソフトウェア・ファースト』に出てきたキーワードを出して少し言いたいことが伝えられた。で、後から本とかサイトを読み直すとやっぱり自分の理解が足りてなかったので、ここで復習を兼ねてまとめておく。

まず、デジタルトランスフォーメーションはいくつかの定義があるのでまずはその紹介から。まずはもっともよく引用される定義がこれ。

企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内
部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラ
ットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソ
ーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネス・モデ
ルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図る
ことで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること

 IDC Japan株式会社の定義(デジタルトランスフォーメーションレポート

また、上記の引用に続いて、

企業が生き残るための鍵は、DX を実装する第 3 のプラットフォーム上の
デジタルイノベーションプラットフォームの構築において、(中略) IT を強力に生かせるかにかかっています。

とも書かれており、現存する、第1、第2のプラットフォームから第3のプラットフォームの確立が説かれている。ちなみに、この第3の前のプラットフォームはそれぞれ、第1のプラットフォームはメインフレームと端末システム、第2のプラットフォームはクライアント・サーバーシステムとのこと。*1DXがふわっとしたバズワードになっているのは、第1、第2のプラットフォームからの移行も含めてDX化とされていて、さらにそこにいろんなベンダーがDX化を進めるものとして、自社の製品を紹介しているからなんじゃなかろうか。

ちなみに、この点については、及川卓也さんが『ソフトウェア・ファースト』でとても分かりやすく説明している。以下はこの本を元に説明をする。彼によると「DXの本質はIT活用を「手の内化」すること」、つまり、「ITの企画、設計、実装、運用というすべてのフェーズを自らコントロール可能な状態にすること、つまり手の内化していくことが大事」なのだそうです。これは、従来のビジネス一辺倒の経営から、ビジネス、テクノロジー、クリエイティビティ(BTCモデル)が求められるようになったことが背景にあります。

そして、このDXの前段階として、デジタイゼーションとデジタライゼーションがある。デジタイゼーションはデジタル化のこと、デジタライゼーションはデジタルデータを用いたプロセスのこと。及川さんが例として挙げているのはカセットテープがCDになるのがデジタイゼーション、曲がMP3でインターネットで共有されるのがデジタライゼーションとのこと。この2つを前提として、ユーザーに新たな価値を提供するのがDXとのこと。

 

一般的なDXの理解は上のもので良いと思う。

次にテックカンパニーでDXというと何かについても押さえておきたい。これについては2つほど参照できるものがある。一つ目はDMMの松本勇気さんのNoteの投稿。

note.com

そして、もう一つは、Googleが提供するCourseraの機械学習のコース。

www.coursera.org

松本さんの投稿では、

DMMの改革を進める中で、ソフトウェアでより成長を加速する、より多くの事業を立ち上げられる会社にしていこうと取り組んできた。その中で一番意識しているのは表題の「失敗をコントロールし継続的に改善し続ける」状態に至ることだと考えている。これは、近年のソフトウェアスタートアップがなぜ成長しているか、ということに答える重要な特徴だと考えている。

と述べられており、IT活用を前提としたうえで、情報をとりながらいろいろな試みを行うことだと言えると思う。同じテックカンパニーのGoogleはそのコースの中で、機械学習の導入に向けて業務の改善は手順を踏むべきとしている。

 まずは1人がうまく業務を回せること。次に複数人で業務が分担できること=明文化されていること。業務がデジタル化されること、そして、そのデジタルデータを分析して改善すること。こうやって自分の言葉で書くとありきたりな気がするのだけど、業務を設計して、それぞれから情報を収集してそれを改善に生かすという基本ながらも大事なことがしっかり行われているんだなぁと感じた。

最後にTransformationで良い感じの写真をググってたのだけど、このさなぎの写真が出てきた。そういえば、確かに蝶も芋虫からそのまま蝶になれるのではなく、いちどさなぎになって体を作り変えてからじゃないと蝶になれないんだよな。デジタルトランスフォーメーションも華々しい成果をあげる前にあんまりきれいじゃないさなぎの時期を通らないといけないんだろうな。

 

Photo by Suzanne D. Williams on Unsplash