『単純な脳、複雑な「私」』 池谷裕二 朝日出版社
脳研究者が母校(高校)で行った講義を収録したもので、
高校生にも分かる言葉で、最近の脳の研究を紹介しつつ、
脳とは何かを考えさせる面白い本。
・ブーバ・キキ問題という実験がある。
星っぽいとがった図形と、雲のような丸い図形を
「ブーバ」、「キキ」という音を紐づける問題
なぜか分からないがみんな答えが分かる
→ひよこの性別鑑別士も似た話か?
・直感やセンスは脳の基底核という部位で作られるが、この基底核は大人になっても成長する。
つまり、経験というのは、直感力も育む
・人差し指の長さとゲイに相関関係があるという研究があるが、人差し指を伸ばせばゲイになるというわけではなく、
別の原因から、人差し指の長さとゲイが起きたのではないか
→関連がある=因果関係がある、ではない
・モナリザは顔の見られにくい方しか微笑んでいない
なので、ミステリアスな微笑として見える
・ネズミにエピソード記憶はあるか
エピソード記憶とは、いつ、どこで、何をした、という3つの要素からなる記憶のこと
ネズミはどのくらい前というのは分かるが、8月15日など、いつという記憶はない
・一般的に、手を動かそうと思ってから脳から手を動かす指令が出ていると思われているが、それは違う。
脳が動かす準備→動かそうと思う→動いたと認識する→脳が手を動かす
・他社に制御されているのを知らなければそれは自由である
→トゥルーマンショーという映画を思い出す
・脳は、入力+ゆらぎ=出力、という計算を行っている
→このゆらぎが生き物らしさを作っている?
・アリの行列は、単純なルールからできているが、それにはまらない動きをするアリもいる
このノイズがより短いエサへのルートを見つけるのに役立つ
・遺伝子は生命体の厳密な設計図というより、ルールブックのようなもの。
このルールを元に、繰り返すことにより複雑な生命体が出来上がる
→『生物と無生物のあいだ』を思いだす。最近の流行か?
・トレーニングすれば、血圧や、パットの成功率などのコントロールしがたいと思われているものも
コントロールが可能
大事なのはフィードバックを得ること